季報 2025秋 - ねじれ双角錐群
特集「エッセイについての小説」
本を読んでいきたいです。本当です。
いわれのない虜 - cydonianbanana
いきなり思考がぐにゃっとなる。久しぶりに本読むのもあるけど……。 身体が柔らかいからバックパックを背負ったままでもチャックが開けられる、みたいな明らかに必須じゃないくだりが脳に効いている気もする。 最初は文章を精査モードで読んでて、10分かけて1ページの4分の3くらいしか進んでなかった。
理解を諦めて詩を楽しむように読んで、でもあとで読み返したらまともな説明だった……。 こういう初見でしか得られないタイプの感覚を、作者がどうコントロールして書いてるのかいつも思うけど謎。 静かなSFでとても好み。オープニングBGMのような読後感。 2ページと少しなのに、むしろこの分量が良いのか、季報が始まったという余韻がある。
遊戯の終わり - murashit
しっかりSFのあとにビデオゲーム評論が始まって、対戦よろしくおねがいしますされて次のページをめくったら脳汁が出た。おもしろすぎる。
YOU DIED案件が複数ある。行為の切り出しや記述が良い。 そういえば終わりのタイプ分けなので、表の右端に行くほど重い行為になり、どれもサクッと実施されていく。 Flashの終焉、自分の拠り所ってなんだったっけ。急速に寂しさが吹きすさび、ゲームってか人生、 いや人生というには、ゲームは自他ともに舞台に対して圧倒的に権限がありすぎる。それが寂しさに直結してる気がする。 まあゲームが寂しいってより、終わりにフォーカスすると、って話だけども。切り口で無限に書けるわけか。面白かった。
なぜ清少納言はハルシネーションを起こさなかったか - 笹幡みなみ
明らかにAIチャットの文章を読んでる。 改めて紙の文字で読んで思うのは、ほんとにどんな問いにも冒頭で結論を断言するし、必ず保険のように微妙な線引きを言い訳的に補足してくる。 西洋っぽくていけすかない。向こうの言語的にまず結論を叩きつけてマウントポジション取ろうとするし(偏見)。 「エッセイと実話怪談の違いはなにか」と問うた時点で二者ありきで扱ってくるのも気になる。 面白かったのは、AIが出した古語が妙に読みやすい。それで能因法師は実在するし、厄介すぎる。 知識系を検索なしで吐かせると、ほんとに確率的に繋いで生成してるのがよく分かる。 こういう応答見るとやっぱ嫌だなこいつ。AI嫌いだわ。
書きすぎた。
主人公がそもそもエッセイと同じ粒度で怪異・怪談を議論するのがさらっと強い。 怪談って(全然知らないが)わりとニッチな気がするけど、と思ってたらすごくサクッと実話怪談になって終わった。 ほんとに肩の力を抜いて書いたらなんでも怪異になってしまう人だ。怪異メディア特化型人材か。 あと壁打ちで出てるように「エッセイについての小説」という枠が揺れてて、この作品自体が小説なのかどうか。 主体が揺れてるからそう感じるのか。主人公の名称がなくて、イコール作者にできるので。狙ってるな……。 桜さんが消えたことでなんか現実寄りになってしまうのも面白かった。 俺も壁打ちするならAIより桜さんのほうがいい。
あやしうこそものぐるほしけれ - Garanhead
人の通夜に顔を出しては料理をいただくことが趣味になってる母親のやばさがシュールすぎたり、 「好きと嫌いの境界線を妖しくぼやかして生きてきた」という言語化とか、 「兼行にかぶれたらおしまいですよ」この小説、エッジが効きまくってる。 宍戸百舌鳥が増えていくたびに呼吸が浅くなっていく。こわい。面白い……。 主人公も言い訳しながら踏み込んでいくので、八代公人と相性が良いというか……。
三崎が饒舌になって、え?と思ったタイミングで正しく主人公からも突っ込まれて安心したあと、漫画のタイトルで吹いた。 このバランスなんなんだ。 八代公人は宍戸百舌鳥のために醜さを遠ざけている/宍戸百舌鳥は醜い八代公人を所有したい/三崎は外見だけ醜さをまとって八代にない詩心を持っている/八代公人は醜さを排除したいのに主人公は八代公人の全てを晒したい。 SU(3)?島で白色になってる? 少しホラーななか、好奇に引かれて謎に面白かった。
徴の塔 - 鴻上怜
枕草子感。 エッセイってテーマで清少納言被りになるのか。いやまあなりますか。 ほんとに作者本人のエッセイでいいのかなこれ。少なくとも人形の家前バス停が存在することはストリートビューで確認した。 エルデンリングノルマもクリア。サークルで必ずフロムゲーに触れないといけない縛りがある?
サビに向かって盛り上がるタイプじゃなくて、ずっと心地良い曲を聴いてるような感覚。 ずっと6割くらいの面白さ?心地よさ?が続く。これがエッセイか……。 描写や記述にいちいち波長が合ってしまった(1ワードだけSFか詩が挿入されたと解釈した)。 展望台には知的好奇心の旺盛な女の子がいる、という解釈が一致すぎて笑った。 良いアウトロ。


























