読書感想:「季報 2025秋」ねじれ双角錐群

季報 2025秋 - ねじれ双角錐群
特集「エッセイについての小説」

本を読んでいきたいです。本当です。

いわれのない虜 - cydonianbanana

いきなり思考がぐにゃっとなる。久しぶりに本読むのもあるけど……。 身体が柔らかいからバックパックを背負ったままでもチャックが開けられる、みたいな明らかに必須じゃないくだりが脳に効いている気もする。 最初は文章を精査モードで読んでて、10分かけて1ページの4分の3くらいしか進んでなかった。

理解を諦めて詩を楽しむように読んで、でもあとで読み返したらまともな説明だった……。 こういう初見でしか得られないタイプの感覚を、作者がどうコントロールして書いてるのかいつも思うけど謎。 静かなSFでとても好み。オープニングBGMのような読後感。 2ページと少しなのに、むしろこの分量が良いのか、季報が始まったという余韻がある。

遊戯の終わり - murashit

しっかりSFのあとにビデオゲーム評論が始まって、対戦よろしくおねがいしますされて次のページをめくったら脳汁が出た。おもしろすぎる。

YOU DIED案件が複数ある。行為の切り出しや記述が良い。 そういえば終わりのタイプ分けなので、表の右端に行くほど重い行為になり、どれもサクッと実施されていく。 Flashの終焉、自分の拠り所ってなんだったっけ。急速に寂しさが吹きすさび、ゲームってか人生、 いや人生というには、ゲームは自他ともに舞台に対して圧倒的に権限がありすぎる。それが寂しさに直結してる気がする。 まあゲームが寂しいってより、終わりにフォーカスすると、って話だけども。切り口で無限に書けるわけか。面白かった。

なぜ清少納言はハルシネーションを起こさなかったか - 笹幡みなみ

明らかにAIチャットの文章を読んでる。 改めて紙の文字で読んで思うのは、ほんとにどんな問いにも冒頭で結論を断言するし、必ず保険のように微妙な線引きを言い訳的に補足してくる。 西洋っぽくていけすかない。向こうの言語的にまず結論を叩きつけてマウントポジション取ろうとするし(偏見)。 「エッセイと実話怪談の違いはなにか」と問うた時点で二者ありきで扱ってくるのも気になる。 面白かったのは、AIが出した古語が妙に読みやすい。それで能因法師は実在するし、厄介すぎる。 知識系を検索なしで吐かせると、ほんとに確率的に繋いで生成してるのがよく分かる。 こういう応答見るとやっぱ嫌だなこいつ。AI嫌いだわ。

書きすぎた。

主人公がそもそもエッセイと同じ粒度で怪異・怪談を議論するのがさらっと強い。 怪談って(全然知らないが)わりとニッチな気がするけど、と思ってたらすごくサクッと実話怪談になって終わった。 ほんとに肩の力を抜いて書いたらなんでも怪異になってしまう人だ。怪異メディア特化型人材か。 あと壁打ちで出てるように「エッセイについての小説」という枠が揺れてて、この作品自体が小説なのかどうか。 主体が揺れてるからそう感じるのか。主人公の名称がなくて、イコール作者にできるので。狙ってるな……。 桜さんが消えたことでなんか現実寄りになってしまうのも面白かった。 俺も壁打ちするならAIより桜さんのほうがいい。

あやしうこそものぐるほしけれ - Garanhead

人の通夜に顔を出しては料理をいただくことが趣味になってる母親のやばさがシュールすぎたり、 「好きと嫌いの境界線を妖しくぼやかして生きてきた」という言語化とか、 「兼行にかぶれたらおしまいですよ」この小説、エッジが効きまくってる。 宍戸百舌鳥が増えていくたびに呼吸が浅くなっていく。こわい。面白い……。 主人公も言い訳しながら踏み込んでいくので、八代公人と相性が良いというか……。

三崎が饒舌になって、え?と思ったタイミングで正しく主人公からも突っ込まれて安心したあと、漫画のタイトルで吹いた。 このバランスなんなんだ。 八代公人は宍戸百舌鳥のために醜さを遠ざけている/宍戸百舌鳥は醜い八代公人を所有したい/三崎は外見だけ醜さをまとって八代にない詩心を持っている/八代公人は醜さを排除したいのに主人公は八代公人の全てを晒したい。 SU(3)?島で白色になってる? 少しホラーななか、好奇に引かれて謎に面白かった。

徴の塔 - 鴻上怜

枕草子感。 エッセイってテーマで清少納言被りになるのか。いやまあなりますか。 ほんとに作者本人のエッセイでいいのかなこれ。少なくとも人形の家前バス停が存在することはストリートビューで確認した。 エルデンリングノルマもクリア。サークルで必ずフロムゲーに触れないといけない縛りがある?

サビに向かって盛り上がるタイプじゃなくて、ずっと心地良い曲を聴いてるような感覚。 ずっと6割くらいの面白さ?心地よさ?が続く。これがエッセイか……。 描写や記述にいちいち波長が合ってしまった(1ワードだけSFか詩が挿入されたと解釈した)。 展望台には知的好奇心の旺盛な女の子がいる、という解釈が一致すぎて笑った。 良いアウトロ。

将棋ウォーズで初段になりました

やっと………。

将棋を始めたのが、あるいは1級になったのが何年前かはもう忘れました。達成率95%から何度崩れ落ちたのか。呪われてるとすら思った。

初段になれた者の義務として、どういった勉強をしたかを振り返っていきます。

 

 

戦法など

相振り歓迎のノーマル四間飛車党。

ぶっちゃけ定跡ぜんぜん分かってないです。初段はそんなものな気もします。棋書はどれもまだまだ体得できてないです。1,2回読んだくらいじゃ無理。

Xで上げた棋譜に有段者の方からいつもコメントを頂いてて(本当にありがとうございます!!!)、それがかなり効きました。たとえば終盤は決めるだけ決めて手を渡すとか、焦らなくともよい or 斬り合うべき局面の判断とか、突き捨てて争点増やしとくとか。あと攻め筋や手筋が見えてないです。見逃しはともかく、思い浮かばないものも多い。毎回指摘されてあーってなります。

言われてすぐ力にできる訳ではないが、例えば単に守る手を選んでジリ貧になることは減りました。相手の好きな手をタダで指させないというか。ただ最近は自分の手に危険な手抜きが増えてる気もする。

なので手筋や中盤が不足して停滞してたんだと思ってます。以下勉強した本を挙げますが、直近で効果があったのは詰将棋、手筋、それと羽生善治の終盤術1です。

 

四間飛車

もともとは角交換四間を指してて、2級時代に47銀型に勝てなくなったのでノーマル四間を選びました(多分弱かっただけなので、いまKKS勉強し直すのもアリな気がする)。

というか藤井猛先生のファンなので「四間飛車を指しこなす本123全てを完璧にマスターすれば四間飛車でアマチュア四段はある」という最高すぎる言葉を信じ、藤井先生に帰依すべく四間飛車を選択した、大多数の常識的な将棋民の一人です。普通に生きてて居飛車から入門することってあるんですか?

四間飛車三冊の神器。

3まで読み切ったのはごく最近です。いや、かなり難しいでしょうこれ。完全にマスターすれば四段ある、と今言われると確かにって思います。でも繰り返し読み込めば「型」が身につくというか、知らない仕掛けにも何となく対応できてしまう気がします。対応してきました。

穴熊は最初は48飛戦法がぶっささったりで最高だったんですが、相手が強くなると反動で爆散するので、いまは56銀型・66銀型を採用しつつ、そろそろ細かく勉強しないとと思ってる感じです。藤井システムも指してみましたが、終盤力がないと無理なことが対局ではっきりと「理解」できたので、ノーマル四間で固定しました。今後は分かりません。

最近はなぜか穴熊をほとんど見なくなり、代わりに左美濃と当たることが増えてます。指しこな3の対左美濃の章は必読です。「左美濃完全撃破」という章立てはガチ。読まないと4筋圧迫されて手も足も出なくなります。また5筋位取りも上のほうで使い手が増え、これも知らないと指せない感じです。

 

四間飛車上達法は神。

1級に上がれたときはこの本を読み込んでました。持久戦にはだいたい66銀型といった指針ができて、序盤で炎上することは激減しました。また対抗形の終盤が鬼ということも良く分かります。藤井先生の解説が良すぎる。

定跡知識と形勢判断能力と終盤力は密接にリンクしています。どこかの段階で、その3つのレベルをまとめて底上げしておいたほうがいいでしょう。

どうやったらまとめて底上げできますか?第3章を泣きながら読めばOKです。

 

四間持ってウォーズでよく当たる戦法

むしろたまに斜め棒銀とかやられるとビビります。

 

  • 右四間エルモ

多すぎ。

出現率体感5割あります。対四間にはこれでいいでしょ感を感じる。許せねえ。調べると鈴木肇先生の本が出るんですが、先生は四間飛車の本も出してますよね(買いました)。武器商人か?

指しこなす本に右四間は書いてないので、真面目な四間飛車党の級位者を狩る邪悪な集団が跋扈しているといってよい。しかし我らが藤井猛先生は大いなる指針を打ち出しています。

そう、居角居銀で良いと。

急所1のp226-227の見開きを読みましょう。銀と角はひたすら動かさず、美濃をどんどん発展させれば良いんです。奴らは目標の33角が拝めず焦ることでしょう。56銀+36歩から37桂と跳ねてきたら刹那で35歩と突きましょう。相手が警戒して36歩を保留+38金と構えたらこっちから35歩突いて牽制しましょう。以上です。これ以上は対策知られると嫌なので書きません。

 

  • 45歩早仕掛け

(追記:へなちょこ急戦のことかもです。ていうか名前、45歩超早仕掛けくらいでよくない?)

右四間ほどではないですが地味に多いです。なんで?これは指しこな1でも良いんですが、高野先生の本が凄くためになりました。

級位者の戦いでも意外とこの本の通りに進行することが多いです。そして読んでないと自力ではたぶん対応できないです。この本は仕掛けの分岐もですが、その後の指し方や指針の解説がものすごく丁寧で、高野先生の優しさに涙が出ます。

あと相手が適当な駒組みしてたら、玉頭銀見せると場合によっては錯乱・自滅してくれたりします。

 

  • ミレニアム

よく当たるってわけじゃないですが、超嫌です。堅いし。

これ持ってくる居飛車の人、そっちからなにもできないでしょと言わんばかりに固めまくってくるので途中で刺す必要があります。

藤倉先生の動画は分かりやすいです。というかメンバーです。ミレニアム対策は何度も見ました。

銀が浮いたときに5筋を突く、浮いた飛車で桂頭を狙う、5筋に歩が垂らせるようにするなど、具体的な手立てが手に入って有難かったです。後編の対策(78金型中飛車65歩開戦)はまだ実戦投入できてないので、いつか試したい。

 

振り飛車

勉強不足で(全部だいたい不足してる)良く分かってません。ぶっちゃけいつも不安です。

藤井先生の本を読めば原理的には大丈夫なはずなんですが、実戦ばかりで方針が染みついてないです。やばいじゃん。

この本も完全に理解したら相振り四段に近い気がします。

1歩持った66角77桂86飛から74歩突き→同香or同銀ルートの攻め筋はマストだが、そもそも66角型があまり作れなくね?ということに気付き、そこから先どうするのかは完全に雰囲気です。攻め筋の弾を持っておくのが大事かと思い、将棋大図書館さんの記事を問題集にして覚えたりしました。

【相振り飛車】向かい飛車の攻め方まとめ - 将棋大図書館

【相振り飛車】三間飛車の攻め方まとめ - 将棋大図書館

 

金無双で先に殴ったほうが勝ちという初代ぷよのようなゲームが好きですが、美濃もたまに指してます。美濃は指しこな2です。ぷよ2感あります。ないか。66角型作れなかったらどうするってのも完璧に書かれてます。私が会得してないだけです。

 

中飛車が思った以上に多いので、三間持った対策として読んでます。再現性が高く滅茶苦茶有難い本ですが、私が内容を忘れてるのが最悪です。いや読み返さなきゃなほんとに。

 

詰将棋

2級時代は高橋先生、1級からは浦野先生のハンドブックをメインにしてた感じです。

 

kindle unlimitedで解ける詰将棋本は以下が良かったです。kindleは問題集と相性がいいですね、出先で気軽に解ける。

 

3手ハンド(1)(2)、5手ハンド(1)は10周くらいやりました。

初めて5手詰を周回したら、突然あと少しで初段というとこまで到達して驚き、以降かなりの間ひたすら詰将棋だけやってました。それが多分良くなかったです。中盤の指し方や感覚が不足してたと思います。

よく3~5手を秒で解けるまで何周もやれとか言いますけど、飽きるんすよね……。その停滞感も伸び悩んだ原因かと思ってます。周回するならストップウォッチ押してRTAするとか、刺激は必須だと思いました。背伸びして7手詰解いたら明らかに勝てるようになったので、難しいやつ解いてもいいんじゃないかと思います。

 

必至

ひたすらやるしかない。詰将棋を優先してたところがあるので、これからやり直していきたいです。やり直したいことが多すぎる。必至やると明らかに手が見えるようになりますからね……。

 

2周はした。が定着してないと思います。解説が分からないということはあり得ないんじゃないかというくらい完璧に解説してくれます。

 

だいぶ昔から読んでるので何周とか分かんないです。毎回問46で心が折れる。この本だけは全部ちゃんと即答できるようにしたいです。

 

寄せ200の難しいのを除去したような本です。これは数年前に10周くらいしてて、その時は明らかに勝ててました。今即答できなくなっているのでそういうことだと思います。

 

手筋

手筋を勉強しだしたのは本当に最近です。将棋は終盤力=詰将棋だけやればいいんじゃなかったんですか。初段になれた原因の一つだと思ってますが、実戦でそのまま手筋が決まったと実感するようなことは少なく、蓄積はまだ全然です。

 

羽生の法則が手筋本で一番解説が良い気がします。羽生先生が書いた本全部良い説はある。サクサク読めるうえに単に面白いです。

 

及川先生の囲いの破り方もめっちゃ良いです。実は相振り用の問題がかなり多いので好きです。見えない問題が多いですね……手順もけっこう織り込まれてるので、盤駒で並べてます。初期配置を見て全部即答できるようになったら二段どころではない気がする。

 

昔読んだんですが、及川先生のやつが難しいと思うのなら今読むべきではと思いました。戦法別の端攻めは相振りで出まくるので必須。早く読め。

 

kindle unlimitedで出てます。寝る前によく読んでました。難しい問題は寝落ちするので実質睡眠導入剤です。解説が凄く丁寧で疑問点は出ないです。

 

受け

これしかない。美濃崩し200は四間飛車党が読むと吐き気がすると思うので。まだ途中ですが……。この本は良すぎるので、優先的に復習したいです。

 

中終盤

これ読んでたら初段になれました。いやたぶん。嘘じゃないです。

中盤→終盤の入り口からどう考えるかという本です。高段者じゃないと意味ないので(3)から読めなどとよく言われてますが、無茶苦茶面白いです。ウォーズで現れた局面だと思って考える→羽生先生の手+考え方を読むのが凄く楽しいです。負けにくさみたいなものが身に着いた気がします。1級で全部理解できるわけないでしょ、って言われると、全ての棋書がそうなので……。

なにより、隙をついて両取りをかけるような次の一手問題と違って、考え方を解説してくれてるのがこの本くらいしか無くないですか。あっ上達するヒントありますね、途中まで読みました……。

 

終わりに

以上です。ほぼ全部勉強しなおしじゃん?

振り飛車を指しこなす本34と四間飛車の急所1234は?

いや棋書多いわ。こんな数の本を一気に読んだり復習したりできるわけないじゃないですか。他の本読んでたら普通に忘れるし。ぼちぼちやっていきます……。

ところで初段になったら二段の人に急に圧殺されるようになったんですが、どういうことでしょうか。局面の均衡を保つ苦しい時間が長くなりました。なんかこれ話が違います。助けてください。

 

嘆願書

HEROZさんは切れたら30秒を今すぐ実装してください。

読書感想:「留年百合アンソロジー ダブリナーズ」ストレンジ・フィクションズ

booth.pm

遅い!!!!!!!感想書くのが!!!
面白かったです!!

全然そうは見えません - 笹幡みなみ

 さくらが受けた否定の重ね方が本当に厳しくて泣いた。玲香・母親のコンボがトラウマになるのに十分すぎる。
 さくら視点での玲香の描写は超主役級で、話としては脇なはずなのにまたそれが辛い。玲香の拒否に玲香だけでなくて人生全てがのしかかってくるのも辛い。そのあとの母親の反応がリアルすぎるのも辛い。
 でもよく読むと母親はメールで歩み寄ろうとしてるし、姉のサポートが的確なので、実はあとはさくら自身が進めるだけの準備は整ってたように思えた。作中ではかなりはっきり救われたし。少しずつ渚といる素の自分を大事にしていって、傷を癒やしてほしいです。

 渚のほうが一人の世界を持ってて単純じゃなくて、最初全然そうは見えませんでした(ドヤ顔)。小5渚の玄関前のシーンが好き。祖母の家に向かわずランドセルのフラップ敷いて本読むことを選ぶところとか。フラップ頭に被せるのかわいい。雨が上がるまでの描写もすごくいい。
 ただ、はっきりと「同じような人」を求めてるのが、さくらを気遣うようでそうではなくて、排他な冷たさを渚自身が自覚して、じゃあどうするという話だったと思う。あのクレープの時さくらから距離を取る選択も普通にありえた気がする、というか二人の違いを誤魔化さずに書くものだから、やり取りが読んでて恐ろしい。本当に紙一重だった気がする。実際トーチ掴みそこねてるけど。
 あそこから引かずにさくらに向かっていったのが、さくらへの想いもあったと思うけど、渚自身が変化していってる感じがあってよかった。いわゆる恋愛感情じゃなくても、はっきり言語化できなくても、作中で簡単に解決させずにこれからを暖かく提示したのが誠実な気がした。二者の関係は固有なんですよ固有。一般化しないでそのまま育んでくれ。

 小説としては読みながら脳に描かせたり感情を呼び起こしたり、火を織り交ぜたりする技が凄いので、文章を読むのが楽しかったです。
 書きたいことが多すぎて感想が纏められず、これ書くのにえらい苦労した。それだけ読み応えがありました。

海へ棄てに - 紙月真魚

 「ひとりで浸って解決してんじゃねーよこっちがどんだけ心配したと思ってんだ」を直球でぶつける菜摘さんが最高。キレるまでずっと先輩の独白と感傷が描かれるので最初に一瞬(同じ失踪が起こってることを)感じつつ読みながら薄れてきた感情をユキちゃんが最後の3ページですべて叩き込んでくれたので、個人的には良いぞ!!ってなった。先輩-叔母の視点だとそりゃそう単純じゃないだろうけど不在者だろうがと指弾しつつ自分は負けんと振り切るのは完全に主人公。かっこいい。

 ところで、先輩と追う後輩という構図が「全然そうは見えません」と(たぶん偶然)似ている気がしたが、自分はユキちゃんの主人公ムーブを直球で楽しんだ一方で、「全然そうは見えません」の方は現実というか生身過ぎて肝を冷やしたりしてて、そういう対比を感じ取っていた。
 ・ユキちゃんのように怒れるかどうかは現実にはかなり難しい気がするが理想だし読後感も良い。
 ・さくら-渚はより現実に近い気がするし、一歩間違ったらやばい。

still - 鷲羽巧

 時代はアナログ。居る/居ない、進級/留年のデジタルに向かってアナログに線を引き続けることで止まりながら抗ってる、と解釈したけど、感触が文と絵で相互作用して伝わってきて良かった。最初挿絵も書けるタイプの作者か、ずるい(褒めている)よなと思ってたが、そんななので単なる挿絵ではなかった。ふつうさらっと見流すところ、文で描かれる線を引く感触が左ページと対応してて、なんかp69あたりはしばらくじっと眺めていた。右の文章の焦りに対して、左の絵は本当に時が留まってるように見えた。

 古書が好きではない、の下り、「あなた」は進んでいる・先へつながっている・動いている、という感じで、「わたし」は止まっている・留まっている、みたいな対比を感じたけど、「わたし」は止まりながら線を引くことで抗ってるように思えて、たぶん「あなた」が取る行動じゃないんだろうなと感じる。「行き止まりだよ」と言うとき後ろ向きの意味が実は入ってないんじゃないかと思った。留まりながら動いてるみたいな、行き止まりに向かって線を引くみたいな。焦りもあるんだろうけど、この人いいよなと思った。

切断された言葉 - 茎ひとみ

 やばい主人公(達?)の話。最後の行為の納まりが強すぎた。強い相互作用の話か?
 結婚式への辟易としてる感じが普通の主人公かと思いきや、エピソードが固有の結界すぎてホラーSFの括りだったっけ?ってなってた。レギュレーションは完全に満たしてた。
 ただ、正直主人公格の側からああいう行動を取るタイプの話に耐性がないので、実際はやや困惑しながら読んだ。やっぱりこっちの菜摘さんはちょっと可哀想というか、やったことは純粋に虐めなので個人的にはどうしても読んでて抵抗がある……グッドエンドが好きなので……。とはいえ最後の(菜摘さんから見て)人間らしい乗り越えから、指会話で空間歪み系へ入って戻れなくなる感じの展開は強烈だった。こわい。

ウニは育つのに五年かかる - 小野繙

 ウニが激重すぎる。冒頭部のノリを罠にするな。
 ウニ狂いのなのです少女、自分が知ってる某キャラクターの某作者による二次創作とかが頭に浮かびつつ、とにかくウニが食べたいのです!という文章を読みながら左下の「ウニは育つのに五年かかる」というタイトルが目に入り若干の不穏さを感じたりしてた。
 しかし物語の中心は「ウニさん」であり、こんなにもキャラがぶち抜けてる夢野まほろが激重百合の狂言回しになる、すごいバランス。美里の件は読みながら予測できててもおかしくなかった気がするが自分は開示時に普通に衝撃を食らい、重さが増え続け、p121あたりでは押しつぶされる一歩手前。残りの2pでどう解決させるのかと思ってたがそうではなく、5年経っておそらく美里自身で解決したことを感じさせてくれた(と解釈した)のが良かった。夢野まほろにとってはウニを5年育てて最後に食べるというのは最大限の愛情表現で、苦しんでいる美里はそれでも何年かかかって良い方法へ持っていけるとまほろは信じていて、自分が食べる-自分とウニさんという関係ではないと受け入れての最後の映像と思ったし、美里のことが本当に好きだったんだなといま書きながら思った。

不可侵条約 - murashit

 いやわからなかったです……。相当読み込んだけどだめだった。読書というより考察ゲームになってるだろ。以下想定。

  • 太字の挿入部はト書き=舞台にいる人間への指示。
    • 現実の描写ではない
    • 召使が「奥方さま?」と声を掛ける指示はスルーされた。
      • 「客席から店内にのぼってくる観客」が現れなかったため、「私」は客席に声を掛けるべきだったかと後悔した。
    • 「カウンターの客が退場」などという指示がないので、「私」は舞台から外へ出ることができない
  • 「ガチャンという音、スポットライト。」の部分は他に比べてほんの少し太字。台本ではなく、予定されてなかったアクシデント的な?
    • ということはリアルタイムで指示が出されていた。
  • コトハ・わたしのやり取りにも指示が出ていた?
    • そしてそのト書きは店主・「私」には見えない。不可侵ルール?
  • つまり「店主・私」 vs 「コトハ・わたし」の脱出ゲームだったんだよ!(絶対違う)
  • コトハ・わたしの会話に対する「私」の思考は、やりとりにフィットするように即興で建てている設定のように思える。
    • より自然に演じたほうが席を立てる、という目標設定?
      • にしては思考だけの「私」は不利でしょそれ。わからん。
        • それか、「コトハ・わたし」の劇を、次は残った「私」が演じなくてはならず、思考をトレースする必要があった?

 舞台設定を考えれば考えるほど、コトハ・わたしの会話の内容を切り離してたことに違和感があったので、この会話の中にデカいヒントがあったのかもしれない。
 ところでその会話、コトハに語る言葉が俗な留年百合すぎてすごかった。「べつに」とか「だって」とかを挿入する位置が若い面倒な女すぎた。「前からいおうとおもってたんだけど、前からいおうとおもってたんだけど、いっそいまいっちゃうけど……」キレすぎ。

パンケーキの重ね方。 - 孔田多紀

 これシリーズ物だったんですね、すみません未読です……。
 初回は数久井さんと響子のやり取りなにかあったか?とか結構読み込んで検討してたけど、前編があったことを頭に入れて読み返すと納得できるとこが多かった。いやそりゃそうだろ、急に新登場の名探偵のところにパンケーキ作りにいって、急に償いを求める主人公のコミュ力おかしいだろ。真雪-響子、真雪-夜々、遠見-紗子、夢亜-琴子をこの短い話で解決できるわけがない。多重奏すぎる。爛柯ちゃんはどこに重なるんですか?
 琴子の懸念を想像するのが正直一番難しかったかな……。まあ響子もよく想像できなかったって書いてたが。祖父・親父がなんだと開き直ってもよかった気がするし、成績問題が琴子をそこまでさせるほど重いのかとも感じた。「夢亜の成績が不安なので付き合いを自粛して、部活も影響ない範囲にしよう」と素直に提案できなかったかと思うが、面白くない大人の意見か。追い詰められるほどにK女子校が滅茶滅茶厳しいのかもしれない。シリーズの最初から読んだらまた来ます。

春にはぐれる - 織戸久貴

 倉科海莉ちゃんが良すぎる。自分には刺さった。
 千咲と潮木先輩が八重樫先輩について話すところ、千咲から見て「およそ他人の係る余地がない美談」であって圧倒的排他、を感じながらも、ピンク髪の理由も駄目押しで食らってこの上なく断絶を予感しつつも告白して、ここ海莉ちゃんに言わせれば自傷してんじゃねーよとなるよな、ってあとで振り返って思う。
 いや、一連を読みながら海莉ちゃんとの初エンカウントまでの段階では、読み手としては(コロナや有事な世相の借用をしつつ説得力を増強させられ)千咲側で完璧にノックアウトして臥せメンタルだったし、なんでこんな酷い止めを刺すのかとまで思ってたが、なんかこう、ばっっっかじゃないですかと言われてほんまやバカやったかも???ってなり、LINEくらい交換しろやなにを微妙な距離感自演してお互い傷つけ合ってんの?っていわれてほんまやLINEくらい交換しとくべきだったなとか思った体験がすごかった。次元が拡張されたような感じ(急すぎて合わない人もいるかも?と少し思ったけど自分には刺さりまくったので、小説力が凄いのかもしれない)。
 つまり自分としては千咲の臥せり具合に共感する側なので、つまり海莉ちゃんの暴力的な救済にはメチャクチャに弱いんすよ。「あなたたち留年生っていうのは見えないマイノリティのひとつなんです。」の行は各マイノリティメンタルへの福音だし、千咲の後ろ向き貸借関係解釈に対して感じ取った非対称性や違和感を、海莉ちゃんが速攻で展開してスマートに救済していくし。「なら、壊れそうになるたび抱きしめてあげます。(以下略全部読め)」、こういう受容にほんとに弱いんですよ。マイノリティなので(皆自分をマイノリティだと思っていることは既知)。都合が良すぎるとも言える。
 でも暴力的救済を施しつつ、海莉ちゃんが千咲先輩ラブになった理由はあの初エンカウントだと思ってて、それってあのときの受容であってまた悶えてしまう。そこまで単純な受容ではないのだけど。発声のときの彼女の揺れはいま読み返すと、ギリギリ保ってた上で、千咲を死なせない最善を狙って刺してると解釈した。ほんとうに強い。

Halloween in Australia - Fairbairn Films : Transcription

 

Jaxon: What?

Lachlan: Uh it's halloween so you got any lollies.

Jaxon: Mate no. 

Lachlan: Come on! 

Jaxon: We're in australia [ __ ]

Lachlan: No but you've got to give me chocolate and stuff.

Jaxon: Does this look like this sort of house? I don't have a single decorationer.

Lachlan: I'm just doing some trick or treating.

Jaxon: The crime rate alone on this street, I wouldn't even be walking by myself. 

Lachlan: Just give me some chocolate bros.

Jaxon: Are you...are you robbing me?

Lachlan: No no this is this is consensual, ...that sounded weird.

Jaxon: Do I have a choice are you saying?

Lachlan: Yes you have a choice but, please give me them.

Jaxon: Man how [ __ ] old are you?

Lachlan: Uh hah...

Jaxon: What!? 

Lachlan: I'm 21!

Jaxon: You're a grown adult. What the [ __ ] are you doing.

Lachlan: All right now I am robbing you.

Jaxon: What!?

Lachlan: I've changed my mind you're getting robbed. 

Jaxon: Well this [ __ ] escalated enormously?

Lachlan: You said the crime rate around here is high. well, it just got higher.

Jaxon: You already had the knife on you.

Lachlan: Get the chocolate.

Jaxon: You already ready for a robbery.

Lachlan: Get the chocolate!

Jaxon: Did you anticipate robbing someone today?

Lachlan: Look, I planned on splitting today between trick-or-treating and robbing.
I didn't expect to mix the two up.

Jaxon: I'm gonna install a panic button. 

Lachlan: Get my chocolate.

Jaxon: If i see you at my door I'm pushing it.

Lachlan: Chocolate!

Jaxon: Nothing about this interaction has been positive.

Lachlan: Oh how unique you don't enjoy getting robbed, GET THE CHOCOLATE!

Jaxon: [ __ ] all right. Anyone tell you you're [ __ ] pushy.

Jaxon: All right we've got a couple options. We've got caramello, curly wurly, 

Lachlan: I'll take it all. 

Jaxon: Mate don't get greedy.

Lachlan: What part of you're getting robbed with a knife. Don't you understand?

Jaxon: Yeah but, 

Lachlan: Your life is on the line.

Jaxon: It is on the line isn't it.

Lachlan: Un. Now, now give them to me.

Jaxon: Yeah but look. What if I get robbed later today, and I've got no chocolate. that's not very fair is it.

Lachlan: That is true.

Jaxon: It is!

Lachlan: You wouldn't have any chocolate to give to the next robber.

Jaxon: Then I'd be in real trouble. 

Lachlan: You would.

Jaxon: What am I gonna do then.

Lachlan: Okay I will just take the caramello.

Jaxon: I was keen on eating that one.

Lachlan: [ __ ] you're getting robbed. 

Jaxon: Fine!

Lachlan: Thank you. 

Jaxon: [ __ ] halloween.

 

今日聴いてた曲 - Rio 65 Trio 'Deve Ser Bonito'

 

KAWAII.

多分その筋ではとても有名なトリオっぽいのだけど、自分に本場ミュージシャンの知識が全くないため全く分からない。

ドラムのEdison Machadoがリーダーらしい。

アルバムもよかったので、空気を軽くしたいときにかける。

今日聞いてた曲 - 夏影の

 
夏影リミックス杯選手権者。
 
毎回最低5回はリピートするので頼むからトラックの尺を10minにしてください、
と今日も思いながら右上を見たら
7 years ago
と書いてました。厳しすぎる。

今日聴いてた曲 - Thomas Gray & Liam Ebbs 'Blue'

 

 
spotifyで見つけて、いいなと思ってた人たちの5月発最新EP。
soundcloudにもフルで上げてんすか。
 
最初に見つけたLadies Wellも貼っておく。